亡霊

takachan

2012年01月17日 10:37

 深夜になっても北風が吹いていました。
立川駅前は終電車が終わると人影がなく静まり返って
しまいます。
私が客待ち車列の先頭にいると、この寒中に白い
ヒラヒラしたシルクのような服を着た髪の毛の長い
女性が乗ってきました。

「曙町のC葬祭センターまで・・・」

と消えそうな声で云いました。
 この女性が乗り込んだとたん車内は妙な霊気のような
ゾクゾクするいゃーな感じになったのです。言葉では表現
できない、とても不気味な女性に思えたのですが行き先が
近くだからと心に言い聞かせC葬祭センターに着きました。

 女性が降りたとたんホットした気持ちと今日はこれで終わり
にしょうと駅を通り越し車庫に帰ることにしました。
2キロほど走り高松町の税務署入り口の信号が赤だったで止
っていたのです。
そのとき、後ろの窓ガラスをトントンと叩く音がしたので
ドアーを開けたのです。なんと乗ってきたのは、ついさっき
葬祭センターで降りた白いヒラヒラ服の不気味な女性でした。

「曙町のC葬祭センターまで・・・」

弱々しい言葉で云いました。
 発車しようとするとヘッドライトが全部消えちゃったのです。
ヒューズでも切れたと思い

   「お客さん、すみませんライトが・・・」

と、客席を振り向くと今、乗ったはずの女性がいないのです。




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