たまりば

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2016年12月17日

奪われた女子高生の命・高齢ドライバーに・友人たちは立ち上がった

 
大好きだったRADWIMPSのライブに行こうとしていた日、彼女は乗用車にはねられ、亡くなった。2015年12月23日。16歳の誕生日まで、あと2日だった。
運転手はそのとき、80歳だった。ブレーキを踏めば間に合ったものの、アクセルを踏み込んでいた。
高齢ドライバーによる事故で奪われた、一人の女子高生の命。家族、そして友人はいま、何を願うのか。
「死ななくて良いはずの命でした。娘は、みんなの中心でいつも笑っていて、何にも一生懸命な、元気で明るい子だったのに……」
11月の東京に、54年ぶりに雪が降った日。さいたま市の自宅でBuzzFeed Newsの取材に応じた母親の稲垣智恵美さん(48)は、静かに、ゆっくりと話を始めた。
奪われた女子高生の命・高齢ドライバーに・友人たちは立ち上がった

すぐ真横には仏壇があって、亡くなった聖菜さんの写真(右写真)がたくさん置かれている。中学までは新体操のクラブチームに、通っていた県立高校ではダンス部に所属していたといい、はつらつとした表情を切り取ったものばかりだ。
「寒い季節になると、あの日のことを思い出してしまうんです」
事故があったのは、取材をした日のように、冷え込みが激しい日だったという。
その日、大好きだったバンド、RADWIMPSのライブを友人と見に行く予定だった聖菜さん。約束より早めの14時ごろ、家を出た。グッズを買うためだったのだろうか。
彼女は「殺された」

事故があったのは、最寄駅に向かう途中のことだった。
裁判の弁論要旨などによると、渋滞道路を渡り終わって道路脇を歩いていた聖菜さんめがけて、一台の乗用車がぶつかった。
運転手はそのままブレーキを踏むことはなく、アクセルを踏んで急加速した。聖菜さんは、鉄製のポールと車の間に挟まれ、死亡した。
リュックの中に入っていたiPadが、事故の衝撃を物語る。ガラス部分は粉々になり、ぐにゃりと曲がったその背面には、柱の形がくっきりと残されている。奪われた女子高生の命・高齢ドライバーに・友人たちは立ち上がった

「聖菜は、押しつぶされたんです。これは殺人だ、人殺しだと思いました」
その叫び声は、100メートル離れたマンションの一室まで届いていたという。そう言って、智恵美さんは嗚咽した。

「稲垣のために変えないと」

聖菜さんの死をきっかけに、動き出した友人がいる。舟木優斗さん(16)。中学時代の同級生だ。

「文化祭のとき、AKB48のダンスを稲垣さんに教えてもらったんです。明るくって、先に立って行動できる子で、コミュニケーションがすごいうまい子で。僕は人見知りだけど、すぐに打ち解けることができました」

あんなに楽しく踊れたのは「稲垣がいたから」。淡々と取材に応える表情がパッと明るくなる。かけがえのない思い出。でも、その彼女はもういない。
知人からのLINEで事故を知った。ちょうどその前日、聖菜さんとメッセージのやり取りをしたばかりだったから、信じることはできなかった。
「身近の人が死ぬって初めてで。頭の整理がつかなかった。放心状態で、涙も止まらなくて、眠れませんでした」

容疑者が高齢者で、アクセルとブレーキを踏み間違えていたと、ニュースで耳にした。「もっと長い人生を生きられたのに、なんでこんなので殺されちゃったんだ」と、だんだんと怒りが湧いてきたという。

「死が報われない、何かしてあげたい」。では、どうしたら良いのか。

調べてみれば、高齢ドライバーによる事故は各地で相次いでいた。「この現状は、稲垣のためにも変えないといけない」。そうして思いついた手段が、テレビで見たことのある「ネット署名」だった。
奪われた女子高生の命・高齢ドライバーに・友人たちは立ち上がった



死亡事故の約3割が高齢ドライバー

警視庁のまとめた「交通事故統計」によると、2016年10月末現在、原付以上のドライバーによる死亡事故で、加害者(第1当事者)が65歳以上だった割合は28.6%(783件)だった。10年前の割合は18.3%で、増加傾向にある。

「75歳以上」に限れば13.8%(377件)。ほかの年齢層がすべて減少傾向か横ばいだが、唯一10年前と比べて27件増えている。

もちろんこれは社会の高齢化に伴うものでもある。免許保持者10万人ごとの死亡事故件数を見れば、16〜24歳が5.82件と一番高い。65歳以上は4.58件だ。

ただ、認知力や運動能力が下がる高齢者の運転は危険を伴う。横浜市で小学1年生が死亡するなど、各地で高齢ドライバーの事故が相次いだ16年11月には、政府が対策を検討。来年3月からは、75歳以上の免許更新時の認知機能検査で医師の診断を義務づける。



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  • Posted by takachan  at 10:28 │Comments(4)

    この記事へのコメント
    koyuriさん、東京は寒い日がつづいています。
    今回は15才という若さで尊い命を失ったその現実。高齢者運転による死亡事故。その死を若い友人たちが懸命に事故再発を無くす運動を行っている友情に心を動かされました。
    いつも申してますが、私たち高齢者は心から安全運転でなければいけません。
    そして高齢になって刑事裁判を受け、そして時には交通刑務所に行くこともあるということも私たちは意識するべきでしょう。

    寒くなりました koyuriさんお体大切になさってください。
    Posted by takachantakachan at 2016年12月18日 11:09
    交通事故は、若くても起こしてしまうコトがありますが、高齢になって無理をして、前途ある人々をというコトでバッシングされてますね。

    やはり、どうしても運転したいのであれば、完全に事故を防げるかどうかは微妙ですが、少なくとも自動でブレーキが掛かるというモノも出て来ているのですから、そうした車を選択するコトが主流になると良いのですが。
    Posted by koyuri at 2016年12月17日 22:37
    はじめまして、たこねえさん。
    確かに最近の車は性能がよく馬力の大きいものも多くあります。
    しかし高齢者になりますと私も含め、何かあったときの判断力、動作力など若い頃から比べ低下しています。
    そのため判断を誤ると大事故に繋がると思います。
    私は今年、高齢者講習と認知症検査を受け合格し免許更新をいたしました。
    この講習は実に中身の濃いものでしてさまざまな測定器を使い検査し又、教習所で運転技能検査を受けます。

    検査官の一言
    「いつも初心を忘れず基本を忠実に守り、安全運転に心がけてください」
    この言葉を守り日々、運転しています。
    コメントありがとうございました。
    Posted by takachantakachan at 2016年12月17日 21:50
    高齢の運転者は昔もいましたが、高齢者の事故が目立つようになったのは最近の出来事のように思います。

    最近の傾向として自家用車が大型化し、必要以上にエンジンの馬力が大きいから、アクセルを踏み間違えると車止めや歩道の段差で停まらず、商店に車が突っ込んだり歩道にいる人をなぎ倒したりの大事故につながっているのだと思います。
    Posted by たこねえ at 2016年12月17日 11:37
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