2007年12月12日
不気味なトランク
秋雨前線の影響でしょうかこの夜もしとしとと雨が降っておりました。無線配車で呼ばれましたのは駅のそばある小さなクラブでした。そのクラブが入っているビルの前で待っておりますとクラブのボーイさんが大きな茶色のトランクのキャスターを押してきて積むように云ったのです。私はタクシーの後ろのトランクを開けて、ヨイショと持ち上げようとしたものの、とても重くてダメだったのです。そこでボーイさんに手伝ってもらいやっとの思いで積むことができたのです。いったい何が入っているものなのか妙な感じの重さでした。
やがて初老のスーツ姿の紳士がお乗りになりました。行き先は30分ほどの貯水池近くの丘陵にある住宅地でした。それにしても飲みに来るのに大きなトランクを持ってとはなにか変な感じがしました。
「ご旅行のお帰りですか」
「いや」
その後は一言の会話もなく雨の中を進んでいったのです。やがて目的の大きな分譲地の住宅に参りました。ここは丘陵を開拓したためでしょうか住宅が石垣をはさんでヒナ段のように並んでいました。ところどころに街灯はありましたが着いた所は暗いのです。紳士が五千円札を出し
「釣りはいいからトランク手伝ってくれ。それからライトを消して」
雨の中、紳士と二人で重いトランクを下ろしたのです。この時、私はどういう訳か早くこの場を立ち去りたい気持ちだったのです。消したライトを点灯させ急いでタクシーを発進させ坂を下り住宅地のはずれまで来た時でした。左側の石垣の側で雨の中、傘もささずびしょ濡れの背の低い女性の後ろ姿が目に入ったのです。そしてよく見ますとさっき降ろしたばかりの大きな茶色のトランクを引いて歩いていたのです。
いったいこのトランクなになんでしょう。中身が気になったのです。
参加しています
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やがて初老のスーツ姿の紳士がお乗りになりました。行き先は30分ほどの貯水池近くの丘陵にある住宅地でした。それにしても飲みに来るのに大きなトランクを持ってとはなにか変な感じがしました。
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その後は一言の会話もなく雨の中を進んでいったのです。やがて目的の大きな分譲地の住宅に参りました。ここは丘陵を開拓したためでしょうか住宅が石垣をはさんでヒナ段のように並んでいました。ところどころに街灯はありましたが着いた所は暗いのです。紳士が五千円札を出し
「釣りはいいからトランク手伝ってくれ。それからライトを消して」
雨の中、紳士と二人で重いトランクを下ろしたのです。この時、私はどういう訳か早くこの場を立ち去りたい気持ちだったのです。消したライトを点灯させ急いでタクシーを発進させ坂を下り住宅地のはずれまで来た時でした。左側の石垣の側で雨の中、傘もささずびしょ濡れの背の低い女性の後ろ姿が目に入ったのです。そしてよく見ますとさっき降ろしたばかりの大きな茶色のトランクを引いて歩いていたのです。
いったいこのトランクなになんでしょう。中身が気になったのです。
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Posted by takachan
at 07:54
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